キリストは、わたしたちの父なる神の御旨に従い、わたしたちを今の悪の世から救い出そうとして、ご自身をわたしたちの罪のためにささげられたのである。 ガラテヤ1・4
兄弟たちよ、「ご自身をささげられた」ということばを心にとめ、熱心に思いめぐらしてください。その時、「罪」ということばに、神の永遠の怒りと、あらゆる悪魔のよみの力が含まれていることにお気づきになるでしょう。悪魔は地上に数えきれない悩みとのろいを送り、わたしたちの生活に瞬時も安全な時がないようにしますので、わたしたちは常にいろいろな悩みに対して準備をしなければなりません。そしてそれらはすべて罪からくるのです。じつに、これは、盲目で高慢な理性が夢想しているような小さな問題ではないのです。
それゆえ、この聖句は、すべての人は罪のなわめのもとにあると最後に強調しております。また、「罪の下に売られているのである」(ローマ7・14)とも言っております。罪は全世界の全人類に対する強力で冷酷な主人であり、暴君ですので、どれほど賢く、りっぱで、教養があり、力強い人でも、これに抵抗することができません。たとえ、天下の人が全力を尽くしていっしょに抵抗しても、この暴君を倒すことができず、かえって、服従し、食い殺されてしまうでしょう。ただイエス・キリストのみがこの残酷で不屈の敵を打ち倒せる英雄です。しかしそのために主は大きな犠牲をはらってくださいました。いのちを捨てなければならなかったからです。
ガラテヤ人への手紙講解