「彼はとこしえにヤコブの家を支配し、その支配は限りなく続くでしょう」 ルカ1・33
主はあなたの王です。あなたに約束されていた王です。あなたはこの王のものです。主のみがあなたを支配されます。しかし、それは霊による支配であって、この世的な支配ではありません。このかたこそ、あなたがはじめから慕い求めていたかたです。このかたこそあなたの敬愛する先祖たちが、心からの願いをもって呼び求めていたかたです。きょうまで重荷を負わせ、圧迫し、とりこにしていたすべてから、主はあなたをあがない、自由にしてくださいます。
信じる魂にとって、これはなんという慰めに満ちたことばでしょう。キリストから離れては、人は多くの怒りの暴君たちの足もとに投げ出されます。彼らは王でなく、人殺しであり、人間は彼らの下にあって、非常な痛みと恐れに苦しみます。悪魔がそうであり、肉、世、罪とそれに加えて律法、そして死と黄泉(よみ)がそうです。これらによってあわれな良心は押しつぶされ、不愉快な束縛を受け、にがにがしい恐怖の生活を送ります。
しかし、人が強い信仰によってこの王を心の奥底に受け入れる時、その人は救われます。罪も、死も、黄泉(よみ)もあらゆるなやみも、もはや、おそれません。それはこの王がいのちと死、罪と恵み、黄泉と天を支配される主であり、すべてのものはこのかたのみ手のうちにあることをよく知っており、疑わないからです。「見よ。あなたの王」、この短いことばの中にどれほど偉大なことが含まれていることでしょうか。このようにあふれるばかりの偉大な祝福を、みすぼらしいろばに乗った軽蔑された王は与えてくださるのであり、しかも、これらを理性や生まれつきの性質は理解することができません。それができるのは信仰だけです。
降臨節第1主日の説