肉の欲を満たすことに心を向けてはならない。
「肉のためにそなえをしても、欲を満たそうとしてはならない」−ルター訳− ローマ13・14
わたしたちの理性と意志ほど、危険なものはわたしのうちにありません。わたしたちが自分のわざと、理性と意志をすて、すべてのことにおいて神に身をゆだねることを学ぶことは、神がわたしたちのうちになしてくださる最初で最高の働きであり、最善の訓練であります。特に、霊的に順調に物事が進んでいる場合はそうです。
次に肉の訓練がつづきます。下品で邪悪な情欲を制し、平安と休息を獲得するためです。このような情欲にたいしては、断食と不眠と労働とによってうちかたなければなりません。こうしてわたしたちは、なぜ、また、どれほど、断食し、眠らずにおり、働かねばならないかを学びます。ところが不幸にして多くの盲目の人々が、断食や、眠らずにいることや、労働などの訓練をそれ自体よいわざと考え、大きないさおしを獲得するためにそれらをたたえております。このような断食は断食ではなく、断食と神にたいする侮辱であります。
それゆえ、わたしは断食の量や、食物や、日数は、各人自らの選択にまかせますが、それを捨て去るのではなく、自分の肉体に注意しなければなりません。彼が肉のうちにみだらな情欲を見いだすかぎりは、断食と、徹夜と、労働とによって訓練すべきですが、それはあくまでもそれだけのことです。
善きわざについての説教