「敵を愛しなさい」 マタイ5・44
わたしたちが、友に対してだけ親切であるならば、その善行とはいったいなんでしょうか。悪人でさえもその友にはそのようにするではありませんか。ものの言えない獣でも、同類にはやさしく親切です。それゆえ、キリスト者は、さらに高いものを求め、感謝の意を表わさない、とるに足りない人々、悪人や敵に対しても、柔和な心をもって仕えるべきです。わたしたちの天の父は、悪い者の上にも良い者の上にも、太陽をのぼらせ、感謝する者の上にも感謝しない者の上にも雨を降らしてくださるからです。
しかしここで、わたしたちは神のみこころに従って善いわざをすることが、どんなに困難であるかがわかってきます。わたしたちが自分で選んだ善いわざを進んでなす気持ちがあり、よく準備ができていても、わたしたちの性質はそれに対して身もだえしてたじろぐのです。それで今、あなたがたの敵や、感謝をしない者たちにむかって、善いわざをなしなさい。そうすれば、あなたがたがこの戒めにどれほど近いか、どれほど離れているかがわかるでしょう。また、生涯を通じてこのわざにどのように従事したかがわかるでしょう。あなたの敵があなたを必要としているにもかかわらず、できるのに助けないならば、それは彼のものを盗んでいるのと同じことです。彼を助けるのはあなたの義務だからです。
善きわざについての説教