「よくよくあなたがたに言っておく。わたしを信じる者は、またわたしのしているわざをするであろう。そればかりか、もっと大きいわざをするであろう。わたしが父のみもとに行くからである」 ヨハネ14・12
わたしたちは、キリストご自身がそうであったように、地上ではこじきです。しかし神の前では豊富な富をになっています。それゆえ、わたしたちとくらべると、この世は貧しくみじめであって、わたしたちがいなければ、その所有物を保つことすらできません。キリスト者がこのように大きなことをなし、キリストご自身より以上に大きなわざをなすというのは、どのよぅな理由によるのでしょうか。キリストはいわれるように「わたしが父のみもとに行くからである」ということ以外にはありません。
キリストが「父のみもとに行く」といわれる意味は、キリストは主とせられ、父の右のみ座に坐し、天と地のすべての権を与えられるという、これです。またどうしてあなたがたはこうしたわざをする力を持つのかといえば、「あなたがたはわたしのものであり、わたしを信じ、そしてあなたがたはわたしのうちにあり、わたしはあなたがたのうちにある」からであるというのが、理由です。わたしが父の右にあって持っている力により、同じ神のみいずを持っており、すべての被造物に、まことの主また神として公然と姿を変えて示されているので、わたしはわたしを信じ、わたしのことば、洗礼、聖餐の礼典を受けてそれに堅く留っているあなたがたのうちに働くでしょう。そしてわたしは、罪、死、この世、悪魔、及びすべてのものの上に主なのですから、あなたがたもまたそうであり、したがって全く同じ力をもってあがめられます。それはあなたがたが自分の価値や力でもっているのではなく、ただわたしが父のみもとに行くからです。みことばにより、祈りによって、わたしのことばはあなたがたのうちに力強く働くでしょう。
ヨハネ福音書14−15章の講解