「それだから、あなたがたの天の父が完全であられるように、あなたがたも完全な者となりなさい」 マタイ5・48
ある人たちは、完全な聖化を夢みていますが、わたしたちは、罪から完全に自由になるという意味で完成に達することは決してありません。この聖句をはじめ聖書のあらゆる場所で言われている意味の完全とは、まず、その教えが完全で正しいということであり、次に、わたしたちの生活が、その教えに支配され、それに一致した生活をするということです。
しかし、ユダヤ人の教えと生活は、不完全でまちがっています。それは彼らが友をのみ愛することを教え、それに従って生活するからです。それはこわれた愛、部分的な愛です。しかし神は完全で円熟した愛を望まれます。それによってわたしたちは友に対すると同様に敵に対しても益をはかり、愛してゆくのです。このようにしてわたしは完全な教えを守る完全な人へと召されております。
そこで生活がそれほどスムーズに完全にいかず、肉と血がたえず妨害するので、不可能であっても、もしわたしたちがそのために努力し、毎日歩みつづけるならば、み霊は肉を支配し、制御し、制し、とどめ、この教えに反対して行動しようとする傾向からまもります。こうしてわたしは愛を歩みの中心に保つようにと召され、それをひとりもかけることなくすべての人に及ぼそうとします。これがまことのキリスト者の完全さを持つことであり、それは特別の職業や状態に存するのではなく、すべてのキリスト者に共通のものであり、また、そうでなくてはならないのです。
マタイ福音書5−7章の講解
