・・・貧しいようであるが、多くの人を富ませ、何も持たないようであるが、すべての物を持っている。 第二コリント6・10
すべてキリスト者は、だれであっても、主キリストがこの世におられた時と同じようなすがたを持っています。そしてキリストがなさったと同じような大きなわざを行ないます。それゆえ、神に属するものによって、彼は全世界を支配することができます。また、あらゆる人を助け、あらゆる人に仕えることができ、地上でなしうるかぎりの最大の事業を達成することもできます。神の目には彼は全世界よりも尊いものに見られており、それゆえ、神は彼のゆえに世界を支え、世界にあるすべてを彼のゆえに世界に与えておられるからです。それゆえ、もし地上にひとりもキリスト者がいないとすれば、どの町にも、土地にも、平和はなくなるでしょう。たしかに、悪魔はたった一日で、地上にあるすべてのものを滅ぼすにちがいありません。現在、穀物が畑にみのりつづけ、人が病気からいやされ、食物を与えられ、平和と安全があるという事実は、彼らがこれらすべてをキリスト者に負うているということにほかならないのです。
わたしたちは確かにこじきでありますが、同時に、わたしたちは多くの人々を富ませます。わたしたちは実際のところ何も持っていませんが、それでも、すべてのものを持っております。この世の王、君主、市民、農民が所有しているものは、彼らが正当な相続権によって得たのでなく、キリストとキリスト者のゆえに与えられているものなのです。
キリスト者には、福音と洗礼と聖餐が与えられております。それによって、彼らが人々を回心させ、魂を悪魔の手から救い出し、よみと死から引き上げ、天国へ連れてゆくためです。また、貧しい人たちを力づけ、慰め、支え、はげしい誘惑のうちにあって悩んでいる良心に忠告を与えるためです。また、すべての人に、どんな職業であれ、よいキリスト者としていかに働くべきかを教えるためです。
ヨハネ福音書14−15章の講解
